N1 · 日本文學
ヴィヨンの妻
維庸之妻
ヴィヨンの妻(五)
それから十日ほど経って、こんどは大谷さんがひとりで裏口からまいりまして、いきなり百円紙幣を一枚出して、いやその頃はまだ百円と言えば大金でした、いまの二、三千円にも、それ以上にも当る大金でした、それを無理矢理、私の手に握らせて、たのむ、と言って、気弱そうに笑うのです。
過了大約十天,這次大谷先生獨自從後門進來,劈頭就掏出一張一百圓紙鈔——那時節一百圓還算大錢,相當於現在兩三千圓、甚至更多——硬是塞進我手裡,弱弱地笑著說「拜託了」。
もう既に、だいぶ召上っている様子でしたが、とにかく、奥さんもご存じでしょう、あんな酒の強いひとはありません。
他似乎已經喝了不少,可您也清楚,沒見過他那麼能喝酒的人。
酔ったのかと思うと、急にまじめな、ちゃんと筋のとおった話をするし、いくら飲んでも、足もとがふらつくなんて事は、ついぞ一度も私どもに見せた事は無いのですからね。
你以為他醉了,他卻忽然正色說起一番條理分明的話來;無論喝多少,腳下踉蹌的樣子在我們面前一次也沒露出過。
本章字詞節錄
- いきなりいきなり
突然、忽然
- 二二
二、2
- 金金
錢、金錢
- 笑いわらう
笑、笑了