N1 · 日本文學
ヴィヨンの妻
維庸之妻
ヴィヨンの妻(四)
「実は、奥さん」とあらたまった口調になり、「私ども夫婦は、中野駅の近くに小さい料理屋を経営していまして、私もこれも上州の生れで、私はこれでも堅気のあきんどだったのでございます。
「實在是這樣,太太——」他換了一副正經語氣,「我們夫妻倆在中野車站附近開了家小料理店,我們倆都是上州出身,我可是個本分的生意人。
かれこれ二十年前、この女房を連れて東京へ出て来まして、浅草の、或る料理屋に夫婦ともに住込みの奉公をはじめました。
差不多二十年前,我帶著這個內人來到東京,在淺草某家料理店夫妻倆一同入住當差。
まあ人並に浮き沈みの苦労をして、すこし蓄えも出来ましたので、いまのあの中野の駅ちかくに、昭和十一年でしたか、六畳一間に狭い土間附きのまことにむさくるしい小さい家を借りまして、心細い飲食店を開業いたしました。
經歷了人們常見的浮沉苦楚,攢了點錢,便在中野車站附近——大概是昭和十一年吧——租了一間僅六疊大、附窄小土間、真是寒酸至極的小屋,開了家慘澹經營的小酒館。
本章字詞節錄
- 口調くちょう
語氣、口吻、說話的腔調
- 実はじつは
其實、實際上
- 料理屋りょうりや
料理店、餐館
- 夫婦ふうふ
夫妻、夫婦