N1 · 日本文學
津軽
津輕
津軽(三十・蟹田N君家)
蟹田のN君の家では、赤い猫脚の大きいお膳に蟹を小山のやうに積み上げて私を待ち受けてくれてゐた。
蟹田的N君家中,已在那張紅色貓腳的大膳桌上,把螃蟹堆成小山一般等著我。
「リンゴ酒でなくちやいけないかね。日本酒も、ビールも駄目かね。」と、N君は、言ひにくさうにして言ふのである。
「非得是蘋果酒不可嗎?日本酒、啤酒不行嗎?」N君難為情地問。
駄目どころか、それはリンゴ酒よりいいにきまつてゐるのであるが、しかし、日本酒やビールの貴重な事は「大人」の私は知つてゐるので、遠慮して、リンゴ酒と手紙に書いたのである。
豈止可以——當然比蘋果酒強多了。可是身為「大人」的我,也明白日本酒和啤酒在當下有多稀罕,所以便客氣地寫信說「蘋果酒」。
本章字詞節錄
- 蟹田かにた
蟹田(固有名詞)
- 君くん
君(男性下位/同輩名後接尾)
- 家いえ
房子、家
- 赤あか
紅、紅色