N1 · 日本文學
津軽
津輕
津軽(十)
秋のはじめの或る月のない夜に、私たちは港の桟橋へ出て、海峡を渡つてくるいい風にはたはたと吹かれながら赤い糸について話合つた。
初秋某個無月的夜晚,我們走到港邊的棧橋上,迎著從海峽吹來的好風颯颯拂面,談起了「紅線」的事。
それはいつか学校の国語の教師が授業中に生徒へ語つて聞かせたことであつて、私たちの右足の小指に眼に見えぬ赤い糸がむすばれてゐて、それがするすると長く伸びて一方の端がきつと或る女の子のおなじ足指にむすびつけられてゐるのである。
那是某次學校國語老師在課堂上對學生說過的傳說:我們的右腳小指上繫著一條肉眼看不見的紅線,它一路延伸出去,另一端一定繫在某個女孩同樣的腳趾上。
ふたりがどんなに離れてゐてもその糸は切れない、どんなに近づいても、たとひ往来で逢つても、その糸はこんぐらかることがない。
兩個人不論相隔多遠,紅線都不會斷;不論靠得多近,即使在街上偶遇,那條線也絕不會纏在一起。
本章字詞節錄
- 秋あき
秋天
- 或ある
某、某個(不特定的)
- 月つきも
月、月亮
- 夜よる
夜、夜晚