N2 · 日本文學
八十八夜
八十八夜(十四)
うしろのアンドレア・デル・サルトたちが降りてしまったので、笠井さんも、やれやれと肩の荷を下ろしたよう、下駄を脱いで、両脚をぐいとのばし、前の客席に足を載せかけ、ふところから一巻の書物を取り出した。
後排那群「安德烈亞・德爾・薩爾托」下車後,笠井先生也像卸下肩上的擔子般鬆了口氣,脫掉木屐,兩腳一伸,把腳擱到前排座椅上,從懷中抽出一本書。
笠井さんは、これは奇妙なことであるが、文士のくせに、めったに文学書を読まない。
說來奇怪,笠井先生雖然是文人,卻幾乎不讀文學書。
まえは、そうでもなかったようであるが、この二、三年の不勉強に就いては、許しがたいものがある。
從前似乎還不至於如此,可這兩三年的怠惰,已到了不可寬恕的地步。
本章字詞節錄
- 笠井かさい
笠井(本作主人公笠井一的姓)
- 肩かた
肩膀;山肩
- 荷に
貨物、行李、行李、行囊
- 下した
下、下面、下方