N1 · 日本文學
地獄変
地獄變
地獄変(七・牛車炎上の御申しつけ)
御絵がほぼ仕上がりかけた頃、良秀は、大殿様の御前にまかり出て、言ひにくさうに申し上げました。
屏風畫將近完成之時,良秀親至大殿之前,欲言又止地稟告道。
「恐れながら、地獄変の中央に描くべき、炎上する牛車と、その中で悶え苦しむ女の姿が、まだ描けませぬ。」
「恕臣斗膽——地獄變正中央應繪之『燃燒的牛車與車中扭曲苦悶的女子』,臣尚未能下筆。」
「私は、自分の眼に見たものでなければ、絵に描く事ができぬのでございます。」
「臣若非親眼所見,便無法繪入畫中。」
本章字詞節錄
- 御絵ごえ
御絵(固有名詞)
- 仕上しあげ
完成、收尾、完工、收尾
- 頃ころ
大約、左右
- 良秀りょうしゅう
良秀(固有名詞)